JelliCollagen®*発見物語

episode.1

発見のきっかけは、海の環境を守ること
厄介な存在だったクラゲを、有効活用へ
現在、地球上に生きる動物は、約144万種類以上。その約95%が海に生息しているといいます。普段の生活では、私たちがあまり見ることのない海の世界には、多様多彩な生き物が存在しているのです。中でも、「海に咲く花」ともいわれている美しいミズクラゲ。Suikoのコンセプト成分「JelliCollagen®*」(クラゲコラーゲン)は、このミズクラゲから抽出しています。 「JelliCollagen®*」を発見し、抽出と製造販売を手がける世界で唯一のメーカー、「株式会社Jelly Labo」の研究員 馬場崇行さんに、「JelliCollagen®*」の発見時のお話を伺いました。

>> JelliCollagen®*を発見したきっかけを教えてください。

2005年に、日本海側でクラゲの大量発生がありました。ひとたびクラゲが増えると、クラゲが魚の稚魚や魚卵を食べてしまうので魚がどんどん減っていってしまう、という環境被害に発展します。そして、海水を取水して冷やすことに使っているような発電所などでも、かなりの被害を受けます。また、漁師さんも網にたくさんのクラゲがかかることで漁の妨げとなり、甚大な被害を受けるんです。
ただ、発想を逆転させると、まったく使ってない資源が大量に存在する、ということ。そこで、「このクラゲを活用できないか」ということで、理化学研究所から研究がスタートしました。いろいろなクラゲを一つ一つ手洗いし、研究を進めた結果、クラゲの中にコラーゲンがあるということを見つけました。そして、これを活用するというチャレンジが始まったんです。

海洋環境の保全から生まれた成分、ということですね。

海洋環境としては、一度クラゲが圧倒的優位に立ってしまうと、元の生態系に逆戻りすることのできない、「クラゲスパイラル」ともいうべき事態へと陥ってしまいます。海の生態系を壊すクラゲを積極的に活用していくことは、海のバランスを保つことにもなるんです。

 

>>そんな中で、ミズクラゲからJelliCollagen®*を発見したときは、どんなお気持ちでしたか?
我々が普段取り入れている従来のコラーゲン原料は、牛や豚の骨や皮膚なんですけれども、大量にクラゲが存在するなら、それに代わる材料として使えるのではないか、という考えが芽生えました。研究を進めていくと、クラゲのコラーゲンだからこその、牛や豚のコラーゲンとは異なる性質がある、ということがわかってきたんです。調べていくほど、全く違う性質がでてきまして…驚きましたね。(笑)

>>クラゲの再活用について、アジアではクラゲの食文化もあり、比較的受け入れやすいのかなと思いますが、世界ではどうなのでしょう?

過去、ヨーロッパなどではクラゲは「メデューサ」と呼ばれたりして、化け物のようなイメージがあったみたいですけれど。最近は、世界的にも大量発生していることもあって、なんとかこの生き物を活用しようというプロジェクトも始まっています。実際、ヨーロッパが集まった「Go Jelly(ゴージェリー)」というプロジェクトがスタートしていて、クラゲの粘液で海を汚染するマイクロプラスティックスを除去しよう、という活動を中心にして、大量発生するクラゲを、食品やコスメ、医療などに利用しようという試みも進めています。

そして、私たちのように、クラゲのコラーゲンを使って再生医療を実現させよう、というようなベンチャーもいくつか立ち上がっています。クラゲは、多くの可能性を秘めた新しい素材だと思っているのです。

JelliCollagen®*開発秘話

episode.2
クラゲのコラーゲンは、全体のたった0.1%
ヒトの細胞にも近い、唯一無二のコラーゲン

古事記の冒頭に「下那州多陀用弊流時」という、「クラゲのように漂っているとき」という、日本の国土の始まりをクラゲに例えた記述があるほど、古来より私たちにとって近しい存在であったクラゲ。

そのクラゲから発見された、新しい美容成分「JelliCollagen®*」 の開発秘話について、「株式会社Jelly Labo」の研究員 馬場崇行さんにお話を伺いしました。

>>JelliCollagen®*は、ミズクラゲのどの部分から抽出しているのですか?

日本沿海に生息するミズクラゲの全身から抽出しています。ミズクラゲは99%が水分で、湿重量でコラーゲンが0.1%ぐらい。つまり、その0.1%のコラーゲンが、99%の水分を保っているということなんです。クラゲの残りは水分と、あとは塩分だけですので、微量ではありますが、逆に(水分と塩分を取り除くだけで)かなり純粋なコラーゲンがとれます。

>>どのような抽出方法なのでしょうか?

クラゲからコラーゲンを抽出する方法については、提携している食品 加工工場にて、独自の特許製法(特許第5775221号)で、行なっています。特に、すべての操作を低温で行うことによって、コラーゲンの独自構造である「三重らせん」という、もともとの構造を保ったまま、“生”のコラーゲンとして、抽出できるのです。手間や時間はかかりますが、この抽出法でこそ、ピュアなコラーゲンが採れるのです。
また、ミズクラゲの調達から一貫して管理しているため、採取日や採取地の特定も可能なので、安心です。とてもクリーンな成分、ということになります。

>>JelliCollagen®※1と一般的なコラーゲンの違いを教えていただけますか?

大きく違うのは、一般的にコラーゲンの原料とされる牛、豚のものは、皮膚やアキレス腱、骨のような、食べられないほど硬い組織からとられている点。一方、クラゲにはそういう硬い組織がありません。食用としても使われるような、柔らかい部位からとれるコラーゲンのみになります。医療の現場では、牛や豚の中でも、たとえば胎児のようなかなり柔らかいコラーゲンを使用するのですが。クラゲの場合、これに近い柔らかいコラーゲンをとることができる、とわかっています。

また、生物の進化から考えると、コラーゲンは単細胞から多細胞に進化したときに使われたものと言われています。多細胞になったときに、多数の細胞がコラーゲンによってくっついて集まることで、どんどん身体が大きくなっていった、と。その当時、だいたい5億年前といわれているんですけど、ちょうどそのくらいに生まれた生物が、クラゲです。つまり、生物史上、初めてコラーゲンを使ったのがクラゲがということになります。

そのため海外では、原始のコラーゲン、つまりプリミティブコラーゲン、と呼ばれています。そして、クラゲのコラーゲンは、人の中のさまざまな細胞に対して、「親和性が高い」という研究もみられています。今は、軟骨細胞、皮膚の細胞、他にも用益の可能性を見出し、研究を進めています。

JelliCollagen®*と未来


episode.3
“生”コラーゲンの可能性は、再生医療へのバトン
新成分の活用と歩みは、未来へ
動物の祖先「生命の樹」に限りなく近い、サンゴと同じ、刺胞細胞生物に分類されるクラゲ。成長過程も独特で、発達段階によって着床生活期(ポリプ世代)から、浮遊生活期(クラゲ世代)へと形状を変え過ごします。まれにポリプ世代からクラゲ世代へ、そしてまたポリプ世代に若返る、強い生命力をもったクラゲもいるのだそう。インタビューの最後は、「JelliCollagen®*」の特徴と今後について伺います。

>>他のコラーゲンとは違う、JelliCollagen®*ならではの特徴は?

肌バリア形成による高保湿力が大きな特徴です。JelliCollagen®*は、分子サイズが大きいため、お肌には浸透しません。お肌の上にとどまって、大事なお肌をダメージから守り、うるおいを閉じ込めます。すなわち、「高い保湿力」と「皮膚バリア強化」(抗酸化、抗老化)の両方が期待できるんです。また、JelliCollagen®*は、コラーゲン II型、IV型、V型と、複数のコラーゲンの性質を有するため、加齢などによって減少したコラーゲンを補うことができます。また、コラーゲンの質を整え、肌の弾力やハリ、ツヤを保った肌状態の維持が期待できます。

>>今後、どのように研究をしていきたいと考えていますか?
最先端の研究でいいますと、クラゲのコラーゲンが、とくに軟骨細胞と皮膚の細胞に対してかなり「親和性が高い」ということで、医療ではすでに「変形性の膝関節症」の治療薬に使う研究が進められています。あとは皮ふ、特に人工皮ふの分野に注目しています。中でも、従来のコラーゲンでは、皮ふの構造の中で「真皮」という中の方の皮ふを再生することは知られていたんですけど、表面の「表皮」というものを再生するコラーゲンというものは、これまでありませんでした。実は、JelliCollagen®*が、その「表皮」を再生するという可能性が、独自試験などで検証されていまして、この結果を基に「再生医療につなげたい」と私たちも思っているんです。海外のべンチャーもそれに向かって研究を進めていますよ。

「表皮」の細胞を活性化するというのは、なかなか他ではみれないもので、新たな成分として可能性を感じています。また、「表皮」の細胞を活性化するというのは、EGF(上皮成長因子)のような、肌表面の新陳代謝の活性化、つまり表皮細胞の成長(ターンオーバー)を促進させる作用があるということですので、特に皮膚の再生にまつわるような研究には役に立ちそうなんです。研究の結果を、再生医療につなげたいと願っています。

最後に、メッセージをお願いします!

クラゲは5億年ほど前と、かなり昔からいる生物ですが、これまでほとんど活用されていませんでした。クラゲから抽出したコラーゲンは、最近になって活用をがはじまったばかりです。研究を進めているなかで、非常に大きな可能性を秘めた成分であることを実感しています。一方で、クラゲを積極的に活用することは、海洋の環境保全にもつながり、地球を守ることになりうると思っています。そんな様々な可能性にあふれるクラゲコラーゲンを、みなさまのお肌で、確かなうるおいと共に実感していただけたら嬉しいですね。

* クラゲエキス(保湿成分)JelliCollagen®は株式会社Jelly Laboの登録商標です。
*1 年齢に応じたうるおいを与えるケア